殊能将之『ハサミ男』@深舟

【あらすじ】

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミをその首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。
三番目の犠牲者を決め、綿密な調査を行なっていたのだが・・・・・・その彼女の死体を発見してしまうことになる。しかも、その死体は「ハサミ男」の手口を真似たものだった。
―誰が、そして何のために―。「ハサミ男」は調査を始めることとなる。

【書評】

ネット上で「すごいトリックがある小説といえば?」と聞かれれば常にその名が挙がると言っても過言ではない、叙述トリックものの中では有名作のこの作品。
普通、「トリックがある」と言われれば、注意し過ぎてそのトリックに気付いてしまい、その面白さが半減してしまうということもあるだろう。
だが、その心配はほぼ皆無と言っていい。
僕自身ネット上でその名前を聞いて買ったのだが、見事なまでの二重、三重のトリックに見事に騙された。仮にトリックに気付くことがあったとしても、その緻密な構成に素直に拍手を送ることが出来るだろう。
500ページを越える大ボリュームであるこの作品だが、話の展開は速く、非常に読みやすい。
読書スピードが遅めな僕が1日で読み終えられたぐらいだ。
あえて作品の中身には触れないこととする。
トリックに騙されるのが好きという人が買っても良し。
トリック? 暴いてやるよという人が買っても良し。
ミステリ好きには是非一読して欲しいこの一作。
寒い冬、こたつにでも入りながら読んでみてはどうだろう。