西尾維新『クビキリサイクル』@霧夢

あらすじ
孤島で起きる2つの殺人と3つの密室。
二次元的密室、三次元的密室、さらには四次元的密室まで・・・
その事件にサヴァンこと玖渚友と、その付添い人こと僕が挑む。
天才達が集う孤島を襲った事件・・・犯人は一体!?

書評
良くも悪くも自分の読書観を変えてしまった一冊。
今では押しも押されぬ名作となった「戯言シリーズ」の第一巻でもある。
ただし、最初の方はミステリだが後にゆくにつれて異能力バトル物になっていくという所は否めないが・・・
閑話休題
思春期の人間というのは「危うさ」を求める人種であると俺は思う。
その最もたるところに「ミステリ」を偏愛するという事があげられる。
事実、人が最もミステリに接するのはおそらく高校生ぐらいだろう。
それはともかく、自分自身もミステリを偏愛しており、1日1冊を読むのが日課と化しつつあったころの話である。
この本に出会ったのはそんな折であった。
そして、自分の読書観は捻じ曲げられ、ひねくれた様相を呈してしまった。
いや、捻じ曲げたといったほうが正しいのかもしれない。
自分自身が本当に面白い作品に出会った後に残るのは、達成感等の感無量的な感覚ではなく、むしろ虚無が生む、どうしようもない虚脱感だとも知った。
まあ、それは個人によって違うのだろうが、これ以降心の底から面白いと呼べるような作品には出会っていない。
この作品を超える一品がないのか、はたまた自分自身が避けているのか・・・
何にしても、あまりお勧めはできないが、一読の価値はある作品だとは思っている。
お勧めできないのは、ミステリファンが往々にして内向的だからである。
さて、ここまで書いて最後に一言言いたいことがある。
「まあ、全部戯言なんだけどね。」

・・・よく考えたら、書評じゃなくてこの作品との邂逅史みたいになってる
・・・・・・・
・・・・・
・・・
ま、いいか(笑)