文芸部ことのは

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ことのはオンライン 2日目 @古川砅、間雁透

こんにちは。先日に続き、M1の古川です。 新歓イベント2日目の企画として、1日目とは別メンバーでリレー小説の実況をしました。一瞬来てくれる人がいた気配があったのですが、その人は1日目のリンクを踏んで去ってしまわれた......。難しいですね……。 以降は…

ことのはオンライン 1日目 @古川砅、白石乙矢、助野神楽

こんにちは。M1の古川砅(ふるかわ わたる)です。 新歓イベント1日目の企画としてZoom上でリレー小説の実況をしました。部の紹介や質問コーナーも行うつもりではありましたが、本日は来場者ゼロでとても悲しい。現地参加の人とかは Zoom 見れませんものね..…

ハウツー記事:小説を書いてみよう!

小説の簡単な組み立て方について紹介します。小説を書くのに必要なのは実はたった3つの要素だけです。

新入生勧誘記事:文芸部で小説を書いてみよう!

新入生の皆さん、合格・ご入学おめでとうございます。「小説楽しいよ!」「新入部員募集中!」という気持ちを込めて勧誘記事を書きました。

「かき氷」「サマーソルト」「ハリケーン」@古川砅

金曜日の夜、寿司子とサイゼリヤで飲んでたら「ねえアヤちゃんー、かき氷食べにいこうよー」ってワインを空けた寿司子が突然言い出したのね。私はプチフォッカでドリアをさらうのに忙しかったから、あーそいえばすぐそこミニストップだったねーうん食べたい…

「蛇」「紫色」「裏切り」@すきーむ

太陽に向かって吼える蛇。山道。 マラソンランナーのような孤独。 汗が伝ってゆく先を食い止める。その首筋。脈動。 そのリズムとは裏腹に、のんべんだらりと鐘が鳴る。 夕方五時の鐘が鳴る。 反響して、街に降りそそぐ。 そのうちに日没がやってくる。この…

「色」「歯」「荷」@翔輝

舞台を包み込む透明な幕が上がり、闇の中の役者達が光を得てその輪郭をあらわにする。やがてそれは虹のように鮮やかに煌めき、波打つように動き始め……。 ……何のことはない、朝が来て目が覚め、視界に水縹のカーテンが映っただけである。 低血圧で言うことを…

「リンゴ」「ポケットティッシュ」「香水」@間雁透

僕は呪われている。「ほら、見て? 途中で切れないように練習したのよ」 僕一人だけの台所で、僕はピーラーでリンゴを剥く。皮はバラバラになって、シンクに落ちていく。包丁を使わなければ、桂剥きなんて無理だ。僕には一生できそうにない。「切ったリンゴ…

お題「病院」「アイスクリーム」「実験」@助野神楽

どちらが北だっただろうか。一瞬、そんなことを思いついた。 きっかけは分からない。脈絡も秩序もないのが思考である。 さらに考えを進めてみた。 ここの病院のエントランスは北西を向いている。つまり歩く方向は南東。 右手にあるエレベーター乗って、五階…

お題「曇天」「アンコール」「医者」@すきーむ

ただ そんなふうに 破れた景色も 曇り空も ただじっとそこにあるだけ 最後に震わせた弦をミュートする。和音の余韻が消えるか消えないかのところで、一礼する。十畳くらいの会場は拍手に塗り替えられる。 アンコールは、一曲。なんとなくそう決めている。さ…

お題「花火」「シャワー」「延滞金」@古川砅

これは時間旅行が今ほど規制されていなかったころの話なのだけれど、夏が暮れると、僕は決まって2012年の8月に飛んでいたんだ。 向こうに着くと僕はまず、都心近くで日雇い労働を転々とする。4,5万円ほど稼いだら、朝一番に駅に向かって、なるべく遠くに行け…

お題「脳」「夏」「名」@御定言兵衛

カランコロン。カランコロン。 俺の部屋にやって来た夏が、グラスの氷を溶かしながら音を立てる。 ミーン。ミーン。 少し気の早過ぎた蝉が一人部屋の外で淋しさを訴えている。まだ世間は花見だなんだと浮かれているのに俺だけが夏と共にいるようだ。部屋には…

お題「市場」「巣」「灰色」@すきーむ

カラフルな果実たちは、いびつな形をその日陰で休めていた。 通りを往く人はまばらで、となり近所のオーナーたちもそれぞれのシエスタを過ごしている。読書に耽る者もいれば、ちょうど片袖を編み終わった者もいる。 客足は凪いでしまった。昼過ぎまでに見知…

お題『雨宿り』『地図』『刀』@古川 砅

木の葉と土に打ちつける、絶え間ない音。 地面から立ち上がる、熱と湿気。草の匂い。 僅かに吹き寄せる、冷涼感。 雨だ。 そして、ここは、どことも知れない、山奥だ。 「あの山、あるだろ。あそこに良い釣り場があって」 「俺は、釣りに興味は無いんだが」 …

お題「金貨」「アリ」「悪魔」@間雁透

担任の先生に頼まれて手伝いをしているうちに、すっかり遅くなってしまった。とは言っても夏は日が長いので、窓の外はまだまだ明るい。じりじりと日が射して、うるさいくらいに蝉が鳴いている。 階段を下りて、下駄箱へ向かう。今日は部活の練習はないし、こ…

野村美月『陸と千星 〜世界を配る少年と別荘の少女』@祈灯愁

あらすじ 両親の離婚話に立ちすくむ千星(ちせ)。明るく笑ってみせることで、壊れそうな家の空気を辛うじて保ってきた。けれど本当は、三人で一緒にいたいと、素直に泣ければよかったのだろうか……。新聞配達のアルバイトを続ける陸(りく)。母は家を空けた…

森博嗣 「悪戯王子と猫の物語」@青桐李

内容紹介一度しか読むことができない物語を旅する悪戯王子と猫。彼らが出逢う20の物語は、ときには優しくときには残酷、ロマンティックでしかもリアリスティック。無垢と頽廃を同時に内在する、ささきすばるのイラストと、詩的な森博嗣の文章とが呼応し、次…

太宰治「パンドラの匣」@砂金

あらすじ「健康道場」という風変わりな結核療養所で、迫り来る死におびえながらも、病気と闘い明るくせいいっぱい生きる少年と、彼を囲む善意の広人との交歓を、書簡形式を用いて描いた表題作。社会への門出に当って揺れ動く中学生の内面を、日記形式で巧み…

 お題『海の家』『夢』『ライター』@助野 神楽

夢を見ていた気がする。 目を開けて、広がる世界は白い。 真上の景色は普段見ていないために、目を覚ますたび自分の現状に混乱する。 眠る前の自分と今の自分は本当に同一なのか、そんな幻想的な疑問に駆られる。ほんの一瞬だがそう信じ込んでしまう。 それ…

「棒」「鷹」「飛ぶ」@掛流野カナ

僕の目の前、いや、目線よりもわずかに高い位置に、白い棒がかかっている。 これはただの棒ではない。 僕が超えなくてはならないひとつの壁である。 夏。 自分と同じ中学生で溢れた、陸上競技場。 棒(いわゆるバーのことだ)から数m離れた場所で、僕はそれ…

鉾谷 曾良「ぬるぬるした蛇」

私は思った、ぬるぬるした蛇になりたいと。 事の発端は、私が大学の帰り道に自転車で走り回っていたときのことである。とある路地に入ると、一台のワゴン車が道の左側に止まっている。そのせいで、道幅が狭くなっていた。自転車が丁度一台通れる程度の広さで…

赤城大空『二度めの夏、二度と会えない君』@祈灯愁

あらすじ 突如転校してきた森山燐は不治の病を患っていた。俺は彼女と共に、ライブを演り、最高の時間を共に過ごし、……そして、燐は死んだ。俺に残されたのは、取り返しのつかない、たったひとつの後悔――決して伝えてはいけなかった言葉。俺があんなことを言…

 お題『汽車』『ワイン』『賭け事』@助野 神楽

奇妙なほど振動を感じない。 もしうたた寝でもしてしまえば、起きた時には自分が今どこにいるのか完全に捉え違えることだろう。 それに加えて、車窓から見える景色は遠くに田園地帯が広がっているだけだ。 遠くには河が見える。遠目からみればゆるやかな層流…

杉井 光『さよならピアノソナタ3』@祈灯愁

あらすじ 初めてのライブを終え少し距離が縮まったナオと真冬は、息つく暇もなく二学期のイベントシーズンを迎える。合唱コンクールに体育祭、フェケテリコ初の単独ステージとなる文化祭。神楽坂率いる民族音楽部の面々は、ときに敵としてときに仲間としてし…

古川日出男「gift」@青桐 李

あらすじ「なかなかキュートな泥棒なのよ」。恋人が教えてくれた、妖精の足跡の捕まえかた。ぼくが試してみると、本当に歩いた跡が残っていた。そこで、妖精の映像を撮影しようとするが・・・・・・(ラブ1からラブ3)。水没したお台場に出来た新国家、廃墟で死…

お題『望遠鏡』『丘』『秘密』@助野 神楽

「子供の頃はさ、近い方が良く見えるんじゃあないかと思って、高い山に登ってさえみれば良いって思ってたんだよなあ」 「今の認識は?」 「十五歳の時、実験的に富士山山頂で見てみたら、もう息を飲むほど綺麗だったことが僕の勘違いを助長したんだろうな。…

 お題『時計』『懐中電灯』『地下街』@助野 神楽

壁はコンクリートの打ち放しで、スペーサの跡が格子点のように見える。部屋全体は単調な直方体で、奥行きはあるのにも関わらず、圧迫感が多方向から感じられた。 後方には、当然だが自分が入って来た扉。そして私から見て対辺の壁に同じような扉があった。 …

お題『ピアノ線』『缶』『スタイリッシュ』@青桐 李

「ねぇねぇ、ピアノの中身で人が殺せるのよ」 私がピアノを弾いていると妹が後ろから声をかけてきた。撮影から帰ってきたところらしい。妹は写真のモデルと、その写真につける文章を書くという趣味とも仕事とも言い難い活動をしている。「そうね、ピアノ線ね…

 お題『遊園地』『バックヤード』『触覚』@助野 神楽

ここはどこだろうか、という一瞬の感覚。 人の記憶は、パノラマ写真のように連続したものではなく、デジタル時計のような断続的なものなのだと思い当たる。 目の前では微かな光線が、乱雑な表面の壁に鉄格子のような模様を描いていた。 他には、闇。 厳密に…