2009-01-01から1年間の記事一覧

【あらすじ】

母さんと父さんは今年で結婚十五年目、僕は中学一年生でサッカー部員。そんなごく普通の平和な我が家に、ある日突然、暗雲がたちこめた。“放浪の相場師”とよばれた人物が母さんに五億円もの財産を遺贈したのだ。お隣さんや同級生は態度がかわり、見ず知らず…

平坂読「僕は友達が少ない」@小野 茸

・あらすじ 学校で浮いている羽瀬川小鷹は、ある時いつも不機嫌そうな美少女の三日月夜空が一人で楽しげに喋っているのを目撃する。「もしかして幽霊とか見える人?」「友達と話していただけだ。エア友達と!」「(駄目だこいつ……)」小鷹は夜空とどうすれば…

伊坂幸太郎『SOSの猿』@草一郎

伊坂幸太郎(著) 単行本: 292ページ 出版社: 中央公論新社 誰かを救いたい。それはメサイアコンプレックス。自分自身の存在価値を証明したい、という願望に起因する他者救済へのこだわり。 読売新聞で連載されていたものを単行本にしたもので、作品のモチ―…

宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」@たゆな

変態勢揃い! ★あらすじ 本編の主人公・池田由記(ヨシノリ)は高校一年生。 ひょんな事から女装を覚えた由記はその快楽にはまっていく…。 ――第1巻裏表紙より ★感想 注目すべきは変態性、これしかないでしょう。 変態、変態と何度も書きましたが、何が変態か…

架神恭介/辰巳一世「完全教祖マニュアル」@黎明

あなたも宗教でサクセスしよう!(本書帯より)【あらすじ】 現在は就職氷河期です。大学をストレートで出ても就職できないなんてケースはざらで、若者たちの中には自分の理想を追い掛けるよりも、とにかくどこでもいいから就職先を確保したいという思いにか…

「この恐ろしい眠りに終わりはないのか?」 ――タイタス、息子たちの生首などを目の当たりにして【あらすじ】 ローマ軍の勇将タイタス・アンドロニカスは、先帝の後継者争いで揺れるローマに凱旋する。ゴート討伐で捕虜とした女王タモーラの長男王子を殺して…

あらすじ

江戸は上野の小さな神社で神宮と務める、のんびり屋の兄・弓月としっかり者の弟・信行。夢に入って過去や未来を見る「夢告」が得意な弓月だが、迷い猫を探せばとっくに死んで骨になった猫を見つけるという具合で、全く役に立たないしろもの。が、何を見込ま…

中島敦「名人伝」@たこのには

【あらすじ】 中国、戦国時代。紀昌という男が天下第一の弓の名人を志す。紀昌は、弓矢にかけては及ぶ者がいないと思われる飛衛という男の下に弟子入りし、修業を積む。修業の成果あって、紀昌はとうとう飛衛と並ぶまでに上達する。しかし、紀昌はあくまで自…

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』@おさひさし

土屋政雄訳 ハヤカワepi文庫 あらすじ 優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた…

【あらすじ】

「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン……。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワ…

久住四季 「鷲見ヶ原うぐいすの論証」 電撃文庫@小野

あらすじ とあるクローズドサークルの洋館でおこった事件を、語り手である麻生丹譲と鷲見ヶ原うぐいすが論証することによって事件を解決へと導く物語である。感想 この作品で出てくるのは、いわゆる特別な才能をもった人物や、一般人とは違う世界に住んでい…

中村佑介『Blue-中村佑介画集』@草一郎

中村佑介(著) 大型本: 204ページ 出版社: 飛鳥新社 普段から油絵や日本画を鑑賞する習慣のない人でも、イラストなら日常的に目にすることが多いと思います。ふらりと街へと出かけたときなどは、電車の吊り広告から路地裏の壁に至るまで、実にたくさんの場…

シャルル・ペロー『赤ずきん』@たゆな

【あらすじ】 赤ずきんと呼ばれる女の子がいた。彼女はお使いを頼まれて森の向こうのおばあさんの家へと向かうが、その途中で一匹の狼に遭い道草をする。 狼は先回りをしておばあさんの家へ行き、家にいたおばあさんを食べてしまう。そしておばあさんの姿に…

京極夏彦『魍魎の匣』@黎明

【あらすじ】 匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂…

我孫子武丸『殺戮にいたる病』@序二段

【あらすじ】 永遠の愛をつかみたいと男は願った――東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とら…

高瀬彼方『天魔の羅刹兵』@Anri

【あらすじ】 ――戦国時代、種子島に伝来した武器は鉄砲ではなかった。 筋金入りの小心者・穴山小平太は、戦場で深手を負い、敵方である織田勢に捕らえられてしまう。荒ぶる御魂を宿し、操者を選ぶという最新式兵器「羅刹兵」に見いだされ、羅刹兵・狗神の操…

久住四季『トリックスターズ』@白影 ポッケ

【あらすじ】 その魔術師はにぃと笑った。ゲームねぇ、なかなか面白そうじゃないか――。 ゲームと称する、その予告は大胆にして唐突なものだった。『我は、今この会場内に集まった諸君の中から生贄を選定し、処刑することをここに宣言する』と。不可解な予告…

有川浩『レインツリーの国』@莉麗

【あらすじ】 きっかけは「忘れられない本」そこから始まったメールの交換。 あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。 かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった―。 (「BOOK」データベースより) 【感想】 気づけば…

村上春樹『1973年のピンボール』@たこのには

〈僕〉と〈鼠〉の青春を描いた初期三部作のうち二作目。著者が後の作品の題材とするものがこまごまと出てくる点、著者の出発点ともいえる。 この小説のメインとなるのは、「ジェイズ・バー」での〈僕〉〈鼠〉〈ジェイ〉の会話だ。〈僕〉の家に居候する〈双子…

角田光代『対岸の彼女』@おさひさし

あらすじ: 田村小夜子は三十五歳の主婦で、三歳の娘持ち。他人とのかかわりをわずらわしく思い、うまく他人とのコミュニケーションができない。最近は娘にもその性格が伝染していることを感じ、なんとかならないものかと頭を悩ませた末、一念発起して仕事を…

恩田陸「夜のピクニック」@継道

「あらすじ」 高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や…

東野圭吾『赤い指』@志庵

【あらすじ】 とある午後。 一軒のごく普通の戸建て住宅の庭にうち捨てられたのは7歳の少女の遺体。 殺したのはこの家の中学生の息子。 母は息子が犯した犯罪から息子を守ることこそ愛情と思いこみ、父は息子の犯した犯罪の後始末で保身を図ろうとする。 父…

夏目漱石「こころ」@小野

あらすじ時は明治末期。夏休み中に鎌倉に旅行に行った際、「私」は「先生」と出会った。先生は大学を出ているが就職せず、奥さんとひっそりと暮らしている。先生は雑司が谷にある墓地(雑司ヶ谷霊園)へ墓参りに行ったり、私に対して「私は寂しい人間です」…

アガサ・クリスティ『オリエント急行殺人事件』@深舟

あらすじ 厳冬の中部ヨーロッパで、豪華客車<オリエント急行>が、大雪のため立往生してしまう。密室状態になった列車でおきた、凄惨な殺人事件。ぐうぜん乗りあわせた名探偵ポアロが、事件の謎に挑む! かのミステリーの女王、アガサ・クリスティの有名作…

安孫子武丸『8の殺人』@草一郎

安孫子武丸(著) 文庫: 354ページ 出版社: 講談社 8の字屋敷で繰り広げられる殺人事件 我孫子武丸の処女作。8の字の奇妙な形をした館で起きる二つの殺人事件を、刑事とその弟妹が解き明かす。推理小説にありがちな荘厳さを作者特有のギャグで払拭、本格に…

根本橘夫「<心配性>の心理学」@たゆな

誠実で良心的に生きようとするとき陥りがちな心配と不安のたえまない悪循環。心の真相に光りを当てながら対処法を模索する。 【目次】 第1章 心配性の人の住む世界 1――心配性とは 2――心配性の性格特性 第2章 心配なとき、何が起こるか 1――心配の体感性 2――心…

フランク・シェッツィング『深海のYrr』@黎明

【あらすじ】 ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲…

志賀直哉「城の崎にて」@小野

あらすじ東京山手線の電車にはねられ怪我をした「自分」は、後養生に城崎温泉を訪れる。「自分」は一匹の蜂の死骸に、寂しいが静かな死への親しみを感じ、首に串が刺さった鼠が石を投げられ、必死に逃げ惑っている姿を見て死の直前の動騒が恐ろしくなる。そ…

霧舎巧『ドッペルゲンガー宮―“あかずの扉”研究会流氷館へ』@霧夢

あらすじ(ウィキペディアより引用) 「実家へ帰省した女生徒が戻って来ない」、と私立高校の教師から相談された《あかずの扉》研究会の面々。研究会の一員で自称・名探偵の鳴海が、女生徒・涼香の実家「流氷館」を訪れると、そこでは、彼女の祖父が推理イベ…

安倍公房『砂の女』@草一郎

安倍公房(著) 文庫: 276ページ 出版社: 新潮社; 改版版 (1981/02) 人間の存在を追求した長篇 安部公房の作中に登場する人物は「個」を特定する要素が希薄である。本作の主人公、仁木順平もまたそうだった。彼の本名は劇中では一度も明かされない。巻末の届…