2011-01-01から1年間の記事一覧

堀井拓馬『なまづま』@みあ

激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻…

野崎まど「パーフェクトフレンド」@ゆうゆう

≪あらすじ≫周りのみんなより、ちょっとだけ頭がよい小学四年生の理桜。担任の千里子先生からも一目置かれている彼女は、ある日、不登校の少女「さなか」の家を訪ねるようにお願いをされる。能天気少女のややや(注:「ややや」で名前)や、引っ込み思案の柊…

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』@小野 茸

内容(「BOOK」データベースより) 僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く…

佐藤多佳子『黄色い目の魚』@甘味重

あらすじ 海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を書くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でも恋愛でもない、名づ…

群ようこ『トラブルクッキング』@秋乃

あらすじ レシピ通りに作ったのに、どうしてこうなるの?「餃子の怪」「御飯無情」「玉砕かきたま汁」…etc.料理下手を返上しようと一念発起、料理に挑むがトラブルの連続!思わず笑うクッキング・エッセイ。(「BOOK」データベースより) 感想 あらすじを見て…

倉知淳『星降り山荘の殺人』@来八

内容 雪に閉ざされた山荘。ある夜、そこに集められたUFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある人物たち。交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島で次々と起きる殺人事件…。果たして犯人は誰なのか!?あくまでもフェ…

柳田理科雄『空想科学読本』@師父

特撮映画やアニメ、漫画など、身近な空想科学の世界にはいつの間にか「常識」になっている設定やアイテムがいくつもある。 変身、巨大化、超音速飛行、光線、バリア…。 これらは、科学的にどこまで正しいのだろうか?無理やり実現したら、いったいどんなこと…

山本文緒『プラナリア』@猫町

あらすじ どうして私はこんなにひねくれているんだろう――。乳がんの手術以来、何もかも面倒くさく「社会復帰」に興味が持てない25歳の春香。恋人の神経を逆撫でし、親に八つ当たりをし、バイトを無断欠勤する自分に疲れ果てるが、出口は見えない。現代の“無…

ウィル・ボウエン「もう、不満は言わない」@来幸笑

幸せになるために何をしたらいいか、昔から考えられてきたことだ。大勢の人がそれぞれいろいろな理由をつけて、こうすればいい、ああすればいいというけれど、この本に書いていることは単純明快。「不平不満を言わないようにする」それだけだ。 著者のウィル…

新堂冬樹『吐きたいほど愛してる。』@六華

内容(「BOOK」データベースより) 迷惑な妄想逆ギレ男が、夫の帰りを正座して待つ壊れた妻が、生き地獄を味わう可憐な美少女が、虐待される寝たきり老人が、自己の中心で愛を叫ぶ!勝手気ままに狼藉の限りを尽くす面々をあなたは愛せるか!エンターテインメン…

中村啓信「新・古事記物語」@刹那

[あらすじ] 千二百年を超える大昔に語られた古事記説話は、新しい学問的裏付けをもって再構成することによって、現代人の魂を揺さぶり、新たな感動をもって迫る。この世の創まりから国生み、天下を治める支配者の誕生、そして天皇の全国制覇に至るまで、古代…

桐野夏生「OUT」@序二段

【あらすじ】 雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。彼女は、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?自由への出口か、破滅への扉か?四人の女たちが突っ走る荒涼たる魂の遍路。魂を揺さぶる書下ろし犯罪小説。 (「BOOK」データベー…

マイケル・J・サンデル『完全な人間を目指さなくてもよい理由 遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』@おさひさし

[内容] 遺伝子操作やスマートドラッグやドーピングは悪か? 何処までなら許されるのか? 人間の身体的増強への欲望は「正義」か? (本書帯より) [感想] この本を読んで、アメリカはもうここまで進んでしまったのかと正直舌を巻いた。 遺伝子操作による病気の…

シェイクスピア「ジュリアス・シーザー」@ゆうゆう

あらすじ ローマの王、ジュリアス・シーザー(ガイウス・ユリウス・カエサル)がプルータスらによって謀殺される。この悲劇はプルータスらの暗殺にいたる葛藤と、その後の彼らの運命を描く。 プルータスらはシェイクスピアの描く人間像の典型のひとつである…

富樫倫太郎『SRO』@梅銘花御瑠

内容(「BOOK」データベースより) 警視庁刑事部に新設された広域捜査専任特別調査室―別名「SRO」。総勢七名の小所帯だが、室長の山根新九郎以下、調査官全員がキャリアだ。管轄の枠を越えた日本版FBIともいえる花形部署SRO。だが、その内実は曰く付きの部署…

活動報告

2011年度の活動報告です。■□■2011年度■□■4月 12(火) 春号テーマ決定 13(水) 年度号批評会「残夜の声」 14(木) 年度号批評会「Fly me to the moon」 19(火) 春号編集委員・編集委員補佐決定 20(水) 冬号(青色)批評会「瞳は銀紙を写し取る」 21(木) 冬号(桃色)…

森博嗣『すべてがFになる』@小野 茸

内容(「BOOK」データベースより) 孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と…

氷川透『密室ロジック』@霧夢

密室ロジック (講談社ノベルス)作者: 氷川透出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/04メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (24件) を見るあらすじ 会議室の死体×衆人環視の現場=究極の不可能犯罪殺される前も後も室内には被害者ひとりきり。 …

道尾秀介『カササギたちの四季』@黎明

【あらすじ】 リサイクルショップ・カササギは、店員二人の小さな店だ。店長の華沙々木は謎めいた事件に商売そっちのけで首をつっこむし、副店長の日暮はガラクタを高く買い取らされてばかり。でも、この店には、少しの秘密があるのだ――。あなたが素直に笑え…

トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』@霧道ゆま

内容憂鬱に物事を捉える一面と、美を表現することに長けている一面とを併せ持つトニオは、幼少期からどこか浮いていた。そんな彼の孤立しているゆえの苦悩を描いている。感想この本に出会ったきっかけは、大学の講義だった。 始めは題材がとっつきにくく感じ…

畠中恵『つくもがみ貸します』@秋乃

【内容】お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟2人で切り盛りする小さな店「出雲屋」。鍋、釜、布団と何でも貸し出す店ですが、よそにはない奇妙な品も混じっているよう。それらは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位高く、いたずら…

道尾秀介『ラットマン』@来八

内容(「BOOK」データベースより) 結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。亡くすということ。失うということ。胸に迫る鋭利なロマンティシズム。注目の俊英・道尾秀介…

裏表紙より

「ひっこみじあんで、気のいいホビット小人のビルボ・バギンズは、ある日魔法使いガンダルフと13人のドワーフ小人に誘い出されて、竜に奪われた宝を取り返しに旅立ちます。北欧の叙事詩を思わせる壮大なファンタジー。」 私が本書を初めて読んだのは、確か小…

佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』@猫町

あらすじ 二十七歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。僕は四年間勤めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。(片説は特定の依頼人を恢復させるための文章で小説とは異なる。)おまけに解雇された途端、読み書きの能力を失う始末だ。謎めく配川姉妹、地下…

瀬尾 まい子『天国はまだ遠く』@六華

仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人…

真保裕一『最愛』@刹那

[あらすじ] 小児科医の押村悟郎のもとに、刑事から電話が入った。18年間、音信不通だった姉・千賀子が銃弾を受け、意識不明で病院に搬送されたというのだ。しかもそれは、千賀子がかつて殺人を犯したことのある男との婚姻届を出した翌日の出来事だった。姉は…

花村萬月『欝』@序二段

【あらすじ】 いちばんの快感は、他人の意思、あるいは意志をねじ曲げることである。無数の本が書かれたことの底辺にある、ある後ろ暗い、ほとんど無意識の欲求の本質は、文字という柔らかな抽象を用いた洗脳である。安穏とした日常を打ち壊すべく放たれた、…