2015-01-01から1年間の記事一覧
あらすじ 突如転校してきた森山燐は不治の病を患っていた。俺は彼女と共に、ライブを演り、最高の時間を共に過ごし、……そして、燐は死んだ。俺に残されたのは、取り返しのつかない、たったひとつの後悔――決して伝えてはいけなかった言葉。俺があんなことを言…
奇妙なほど振動を感じない。 もしうたた寝でもしてしまえば、起きた時には自分が今どこにいるのか完全に捉え違えることだろう。 それに加えて、車窓から見える景色は遠くに田園地帯が広がっているだけだ。 遠くには河が見える。遠目からみればゆるやかな層流…
あらすじ 初めてのライブを終え少し距離が縮まったナオと真冬は、息つく暇もなく二学期のイベントシーズンを迎える。合唱コンクールに体育祭、フェケテリコ初の単独ステージとなる文化祭。神楽坂率いる民族音楽部の面々は、ときに敵としてときに仲間としてし…
あらすじ「なかなかキュートな泥棒なのよ」。恋人が教えてくれた、妖精の足跡の捕まえかた。ぼくが試してみると、本当に歩いた跡が残っていた。そこで、妖精の映像を撮影しようとするが・・・・・・(ラブ1からラブ3)。水没したお台場に出来た新国家、廃墟で死…
「子供の頃はさ、近い方が良く見えるんじゃあないかと思って、高い山に登ってさえみれば良いって思ってたんだよなあ」 「今の認識は?」 「十五歳の時、実験的に富士山山頂で見てみたら、もう息を飲むほど綺麗だったことが僕の勘違いを助長したんだろうな。…
壁はコンクリートの打ち放しで、スペーサの跡が格子点のように見える。部屋全体は単調な直方体で、奥行きはあるのにも関わらず、圧迫感が多方向から感じられた。 後方には、当然だが自分が入って来た扉。そして私から見て対辺の壁に同じような扉があった。 …
「ねぇねぇ、ピアノの中身で人が殺せるのよ」 私がピアノを弾いていると妹が後ろから声をかけてきた。撮影から帰ってきたところらしい。妹は写真のモデルと、その写真につける文章を書くという趣味とも仕事とも言い難い活動をしている。「そうね、ピアノ線ね…
ここはどこだろうか、という一瞬の感覚。 人の記憶は、パノラマ写真のように連続したものではなく、デジタル時計のような断続的なものなのだと思い当たる。 目の前では微かな光線が、乱雑な表面の壁に鉄格子のような模様を描いていた。 他には、闇。 厳密に…
しぱしぱする目をぎゅっと閉じて、かなえは目の前に広がる景色を遠ざけた。いつも使っている目薬はあいにくと昨日きれたところだった。 教室の窓から見えるグラウンドでは、陸上部員が今日も元気に走っている。かけ声、足音、ホイッスル、水音、砂のはねる音…
本の紹介「人知れぬ愛の過ぎ去りし/遠くのびた二本の轍に/濁った涙が溜まっている」(人肌硝子)、 「立ちすくむ裸のおまえ/俺の舌が螺旋につたう/巻きつく柔らかな銀糸のように」(うわめづかい)、 「匂い立つ鉛色の殺意に/手を添え引き金を引く/重心の狂った…
三題噺というか四題噺ですが、そこはお気になさらず。 暗い部屋の中心には一台の雀卓。俺は扉から一番離れた側に座っていた。右隣にはひょろい幸薄そうな男、左隣にはスーツを着こなした男が座っている。二人の本名は知らないが、それぞれ『桜男』と『紅茶男…
○内容今も昔も、山口には「ぶちすごい」がいっぱい。我らがお国自慢をたーぷり詰め込みました。(「BOOK」データベースより)○感想 本を見た時、山口県民としてはこれは買わざるを得なかった。中身を見ると大きく食、地域、歴史、文化・人物という4章構成で、…
ねぇ、刑事さん。例えば、です。あなたが人数の少ない弱小の部活に所属していて、活動実績を上げなければ廃部と言われて。それでも必死に立て直そうとしたなら、どうします? 私は新聞部に所属していたんですけどね、ええ、学校内のイベントを取り上げて記事…
「事件が起こったのは片田舎にあるごく普通の日本家屋。被害者はその家に住む主婦だ。亭主は表具師をしている」 先輩は唐突に話し始めた。 「被害者はリビングのテーブルに突っ伏した状態で死んでいた。死因は鈍器で頭を背後から殴られたことによる脳挫傷、…
紹介(Amazonより) 『もものかんづめ』『たいのおかしら』『さるのこしかけ』『さくら日和』に続く、さくらももこの懐かし・おもしろエッセイです。 『さくら日和』以来の、6年ぶり書き下ろし。著者が最も得意とする少女時代に加え、今まで書いたことのない…
役に立たないフードが風に揺れている。 アカリは、朗々と謳うようにメロディを奏でる親友を見ながらため息をついた。 親友であり、幼馴染でもあるユキは、コーラス部のエースで、素人のアカリが聞いても飛びぬけて綺麗だと感じる。 家の近くの公園で練習する…
あらすじ 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」 勇者「断る!」王道RPGならば、クライマックスであるはずの勇者と魔王の対峙から本作は幕をあける。 魔王は勇者に、自分を倒しても戦争は終わらないと告げる。 人間と魔族の戦争を、本当の意味で終わらせるには…