【あらすじ】

母さんと父さんは今年で結婚十五年目、僕は中学一年生でサッカー部員。そんなごく普通の平和な我が家に、ある日突然、暗雲がたちこめた。“放浪の相場師”とよばれた人物が母さんに五億円もの財産を遺贈したのだ。お隣さんや同級生は態度がかわり、見ず知らずのおかしな人たちからは脅迫電話があり、おまけに母さんの過去を疑う父さんは家出をし…。相場師はなぜ母さんに大金を遺したのか?こわれかけた家族の絆を取り戻すため、僕は親友で将棋部のエースの島崎と真相究明の調査にのりだした。
(「BOOK」データベースより)

【感想】
宮部みゆきというと、「ブレイブ・ストーリー」や「火車」などが代表作として取り上げられることが多い。しかしながら、私は、この「今夜は眠れない」という作品こそが宮部の代表作にふさわしいのではないかと思う。
 内容自体はいたってシンプルな主人公のテンポ良い語り口が軽快なミステリーといったところであるが、この物語の本質は「家族」に焦点を当てていることにある。物語は一言で言うと、優しい。主人公である僕をはじめ、親友の島崎、果てには、少年を取り囲む人々が優しい。
 私は、普段から家族というものはあまり好きでも嫌いでもなかったが、この本を読み終えた後には、「家族を大事にしよう」と自然と思えた。

 この本を読んだのが、ずいぶんと前だということと、この本をなくしてしまっているので、あまり思い出せないのが残念である。また機会があれば読みたいと思う。