あらすじ
出版社社長が殺された。容疑者は"山猫"と呼ばれる謎の窃盗犯。世間をにぎわすこの怪盗の信条は、"人を殺めないこと"のはずが、一体なぜ!? ライターの勝村は事件を追い始めるが……!?
書評
探偵と銘打ってはいるが、読みやすい文体で数時間もあれば一気に読めてしまうため、推理小説というよりはどちらかというとライトノベルに近い印象を受ける。
全体的に今後に繋がっていくことを意識させる内容で、主人公その他の登場人物紹介、と言っても差し支えないであろう一冊である。とはいえそれに終始している訳ではなく、一件の殺人事件を巡って繰り広げられるオムニバス的ストーリーは、少なくとも次のページを捲る意欲を起こさせるには十分であろう。最終的に解明される謎そのものは大して驚きを感じうるものではなく、むしろありがちで予想の通りではないかと思われるものではあったが、それよりも癖のある登場人物の性格や言動を楽しむための小説と言える。
