歌野晶午『ハッピーエンドにさよならを』@六華

[内容]
 望みどおりの結末になることなんて、現実ではめったにないと思いませんか?小説の企みに満ちた、アンチ・ハッピーエンド・ストーリー。前人未到のミステリ四冠を達成した偉才が仕掛ける未曾有の殺意。 (本書帯より)

[書評]
 全十一話の短編からなる本書。そのどれもが、タイトル通りのバッドエンドとなっている。一番短いものは二ページのショートショートで、さくさくと読みやすく一冊通してあっという間に読み切ってしまえる。
 だが、なんといっても兎に角後味が悪い。待ち受けているのは、どれも救いようのない結末ばかり。どのお話もバッドエンドを迎えるということが既に半分以上のネタバレであるのだが、そこは作者らしく捻くれた結末が用意されているものが多い。
 個人的に印象に残ったお話は、『サクラチル』、『玉川上死』、『尊厳、死』だが、どれもそこまで長くないお話なので一度立ち読みしたうえで自分と合いそうだと思ったら購入、というのも良いかもしれない。
 本の装丁も不気味なくらい真っ黒で美しい。
 
 ハッピーエンドなんてくそ食らえ!世の中そんなに甘くないんだよ!とお思いの方に、お勧めしたい一冊。