服部嗣雄『難問題の系統とその解き方 物理I・II』@たゆな


 
★あらすじ★
 基礎から実践へ
 系統学習による難問題の解明!
 本書表表紙より引用
 
★感想★
 この本は「難系」や「難系物理」と呼ばれていて難関大学を受験する方に愛されています。難易度は非常に高いので、大学入試に向けての最後の演習本となるでしょう。
 私は物理が基本的には好きです。しかし熱力学は苦手です。
 私の嫌いな物理法則に熱力学の第二法則というものがあります。これは様々な表現ができるですが、William Thomsonは「一つの熱源から正の熱を受け取り、これを全て仕事に変える以外に、他に何の変化もおこさないようにするサイクルは存在しない。」と表現しています。私なりの簡単な表現をすれば「努力は100%は報われない」と言い換えることができます。それならば何も動かなければ自分のエネルギーは減りません。
 この法則は科学的な手法で発見されたもので、この法則を科学的に否定するためには、同様に科学的手法を用いて否定しなければいけません。反例(永久機関)を作ろうと何人も試みましたが、全員失敗しています。
 昔の偉い人が「理不尽だからこそ、神を信じる」と言いました。この言葉自体理不尽でしょう。しかし、私たちの生きる社会は理不尽です。この社会を正気で生きることは不可能だと思います。
 私の同僚に嫁を養うために一生懸命働くと言う人がいます。私には理解できません。また、誰がどうみてもカルトな宗教にはまる人がいます。これも私には理解できません。
 私たちの生きる世界は熱力学の第二法則が支配しています。エネルギーが減っていく一方ならばそのまま死ねばいいと思うのに、私は死んでいません。何故なのでしょう。
 人間が生きていくのは理性ではなくて、非理性が根底にあるのだと思います。西洋圏では、自殺率が少ないです。西洋ではキリスト教という非理性な概念が根底にあります。日本は神道というものがありましたが、無くなりました。昔、共産圏では宗教が禁じられましたが、CISの自殺率が高いのもこれに相関があると思います。
 理不尽さを信仰できる情熱があれば、私たちは前向きに生きていけるのかも知れません。