単行本: 240ページ
出版社: 集英社 (2001/4/17)
著者のユニークな回答が魅力的
内容は、科学から人生相談まで面白いものを選んで構成されている。
たとえば
Q:名古屋の夏は何故こんなに暑いんですか?
A:君が暑いと思うからでしょうね。
これはやや意地悪な答え。
他には
Q:先生のファンクラブにはどうやって入るのですか?
A:まず、ファンになる必要があります。これが難しいから諦めましょう。
このQ&Aには笑ってしまった。
このような風変りな回答が多数載せられている。
本書のなかで特に納得されられたのは、著者なりの人の評価の仕方である。人をどう評価するのか。それは、質問に対してどう答えるかで評価するのではない。その人がどういう質問をするかで評価されるべきなのだ、と著者はいう。たとえば、就職面接で、面接官の質問に正しく答えるのは誰にでもできることだ。自分への質問なのだから答えられるのは当たり前である。重要なのは、「何か質問はありませんか?」と尋ねられたときに、的確な質問ができるかどうかである。それができなければ他の受験者と差別化が図れないために、高い評価を得ることができない。
同様に、問題を発見する能力も人を評価する指標になりえる、と著者はいう。このことは学士論文というものを書くことになった私にとって、非常に納得させられたことだった。というのも、論文のテーマにありきたりなものを選んだときに、指導教官から即却下された経験があったからである。本書の著者も私の指導教官も「研究の世界では、新規性・独創性が大切」と、同様のことを述べている。このことは研究の世界に限らず、ビジネスや医療、教育など他の分野でも当てはまることではなかろうか。
変化の激しい社会において求められる人材とは何か。それは上記のような条件を満たした人間であると私は考える。では、どのような訓練をすればそのような人間になれるのか。そのことについてはまったく触れられていなかったが、自己を見つめ直すには打ってつけの一冊なのは確かである。
内容(「BOOK」データベースより) ミステリィ作家であり、某国立大学工学部助教授である著者は、学生に質問をされることで出席をとり、その質問に自身が答えたプリントを配布するという授業を、何年間も続けている。理解度を評価するとともに、自主性や創造性などを高めるためである。授業内容に関連するもの以外に、たわいないものから、科学、雑学、人生相談など、学生の質問内容はヴァラエティ豊かだ。本書は、数万にのぼるそのQ&Aから、ユニークなもの・印象深いものを独断的に選び、その面白さの一端を紹介していく。