サン=テグジュペリ著 河野万里子訳『星の王子さま』@Anri

○内容
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子様だった…。
(本書裏表紙より)


○感想
言わずと知れた児童文学の名著である。
「僕」がストーリーテラーとなり王子様の旅の道中を語るという内容が主だが、多くの童話が多分に社会風刺を孕んでいるように、この星の王子様という作品も大人へのアンチテーゼが含まれている。
もちろん子供が読んでストーリーを追えるように作られているが、十分大人の鑑賞に堪える作品と言えるだろう。
柔らかな表現を使いつつも、年齢を重ねるにつれいつの間にか忘れてしまった子供の世界を想起させるフラグメントの数々は、大人の心にこそ強く響くところがあるのではないだろうか。


どうでもいいが「僕」は王子様にべた惚れすぎである。