倉知淳『星降り山荘の殺人』@来八

内容
雪に閉ざされた山荘。ある夜、そこに集められたUFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある人物たち。交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島で次々と起きる殺人事件…。果たして犯人は誰なのか!?あくまでもフェアに、読者に真っ向勝負を挑む本格長編推理
(「BOOK」データベースより)

感想
「やられた」
真相が明かされた時、思わずそう呟いてしまった。すっかり騙された。
王道でありきたりなクローズド・サークルであり、特に目新しいものはないように思える。電話も通じない雪山の山荘(?)に閉じ込められた一同、不意に起こる殺人、更には雪についた足跡まで出てくる。「これでもか、これでもかっ」と言うぐらいベタな展開の目白押し。少し変わったものも登場するが、内容についてさして特筆するべきところはなさそうだ。純粋な犯人当てのミステリである。
場面が変わる毎に、筆者がどういう状況か端的に説明をしてくれるというのが、この小説最大のポイントである。例を挙げるなら『このパートには重要な複線が隠されている』『この推理は正しい』などを筆者自身が教えてくれる。ここがこの作品がフェアと呼ばれる所以なのだろう。
読んでいる途中、個人的にいただけないなぁと思った箇所が数点ある。
犯行動機については語るまい。忘れよう。
またミステリ小説肝心要の推理についても拙いというか「えっ、そんな考え方で犯人絞っちゃって良いの?」と思うところがある。まぁしょうがない気もするが。
最後ギャグに走ってる気がするのも何だかなぁ。
その他気になるところは数点あるものの、素直に読んで良かったと言える作品だ。
読んで損はない作品であるし、名作とされているので、ミステリ小説が好きな人は是非読んでみてはいかが。