柳田理科雄『空想科学読本』@師父

特撮映画やアニメ、漫画など、身近な空想科学の世界にはいつの間にか「常識」になっている設定やアイテムがいくつもある。
変身、巨大化、超音速飛行、光線、バリア…。
これらは、科学的にどこまで正しいのだろうか?無理やり実現したら、いったいどんなことが起こるのだろうか?本書は、夢の世界の出来事を科学で計るというタブーに挑戦し、人間の想像力が生んだ空想科学の魅力を再確認しようという試みである。
アトムやウルトラマンに胸躍らせた経験を持つ、すべての「科学の子」に贈る驚嘆と爆笑と感動の書。(「BOOK」データベースより)


空想科学読本シリーズは一時話題になり、当時小学生・中学生だった自分も触発されてクラスメイトとアニメや漫画の科学的考察について話し合ったことがある。将来ロボットに乗りたいと言う友人に対して、加速度が大き過ぎて気絶するよとか、宇宙飛行士になりたいと言う友人に対して、無重力空間だと虫歯が破裂するよとか、数値も気にせず言っていた馬鹿な話である。しかし、考えてみれば、自分が理科系の話が好きになった一つのきっかけであるかもしれない。

本書は、特撮映画やアニメ、漫画の中の事象について、作品内の説明に基づき、或いは説明が無い場合は作者が想定した仮説に基づき物理的に可能かどうか、行うためにはどれだけの負担が掛かるかを計算したものである。しかし、作品の設定を無視したケース等、間違いも多かったため、その点については作者も謝罪している。しかし、私はこの本の楽しみ方をそんなところには求めていない。科学と表しておいて何を言うかと言われるかもしれないが、粗探しよりも、馬鹿みたいな桁数を笑い、無理矢理な仮説を楽しむのがこの本の楽しみ方であろうと考える。元より作品内で出て来る超能力・超常現象の中でも一際おかしなものを題材にしているのだ。読んで、笑って、閉じる。それでいいではないか。