乾くるみ『イニシエーション・ラブ』@小野 茸


内容(「BOOK」データベースより)
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。


感想

確かに。読み終わった瞬間に感じたのはこのような感情であった。ミステリーになれた読者ならばおそらく気づいてしまうような伏線の引き方が多かったようには思うが、読者を騙すために繊細に文章を重ねていっているのだなぁと感じた。おそらく、私たち大学生よりももう少し年配の方のほうが面白く読めると思う。細かい小道具の使い方には舌を巻くばかりである。

私自身は、2回読むまでには至らなかったが、最後のオチを読んだあとに何度か気になる場面を読み返した。少なくとも、「えっ? じゃああの場面はどんな風に書いてあっただろうか」と気になってしまうことは請け合いだ。

この作品は、是非ミステリー初心者におすすめしたい。そして、筆者の仕掛けた罠に引っかかった上でもう一度読み返して欲しい。