伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」@祈灯愁


あらすじ
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている"荻島"には、妙な人間ばかり住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。
無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
(本誌裏のあらすじより)


感想
この作品は色々と考えさせられた。
私がこの作品を読んで思ったことを一言に表現するとこの一言に尽きる。
今まで当然として生きている現実からこの"荻島"に連れてこられたら世界観が変わるだろう。
同じ世界だが隔離された切り離された世界。
中でも一番印象に残っているのが探偵についての言及である。
探偵は事件を未然に防ぐためにいるのではなく、解き明かすために存在している。
当然のようでなかなか考えようとしなかったことである。
探偵がいるからこそ事件が起きてしまうのだ。
つまり名探偵と呼ばれる人はこの世に存在してはいけないのですよ。
みなさん、名探偵がいると安心しないで、むしろ何かが起こってしまうと危惧してください。

この作品はミステリーとして評判を集めていましたが、謎解きを大々的に行っているわけではありません。
なぜなら名探偵は存在してはいけないからです。
でも謎解きを行う人はしっかりといるので安心してください。
私はこの作品を読んでミステリーというよりもファンタジー的な感覚で読みました。
人語を話し未来予知ができるカカシ、殺人を許された男などなど、現代と全く違った世界観が"荻島"にはあり、ミステリー要素も少ないと感じたからです。
それでもしっかりと最後にはなぜカカシが死んだのかを解明してくれます。
この謎解きはアリバイやトリックを考えるよりか、人の気持ちを考えていくとわかりやすいです。
謎解きがしたい方には、あまり満足できないかもしれません。
それでも読んでみる価値は十分にあると思います。

構成的には"荻島"とそれまでいた土地での出来事を交互に展開していく形となっています。
それでも"荻島"での話が大部分となっています。
荻島での出来事、考えていることを自分に照らし合わせてみると案外に怖かったりしました。

以上で書評ではなく、感想を終えたいと思います。
次回は書評が書けるように頑張りたいと思います。
ここまで読んでくださった方、最後だけ読んでくださった方、ありがとうございます。
ではまた。。。

P.S.以前に書評していたらすみません。