東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』@香嵐

・あらすじ
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。
『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。
大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は”執事兼運転手”の影山。
「お嬢様の目は節穴でございますか?」
暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに謎を解き明かしていく――
小学館サイトより)

・書評と感想
テレビドラマ化、映画化と話題になっている「謎解きはディナーのあとで」の原作です。本編には短編が六本収録されており、さくさく読める作品です。ちょっとした息抜きに最適かな?と思います。
では書評に移ります。
全体としてはコメディ多めのミステリー小説になります。構成は、前半(事件の捜査)と後半(謎解き)に分かれます。それぞれに違った趣があり、全体を通して楽しむことができました。
主人公は世界的に有名な大企業の社長の一人娘、宝生麗子。そんな彼女がどうして刑事という職についているのか、そこは疑問が生じます。なおかつその上司である風祭警部も麗子ほどではないが大企業の御曹司。少々強引な設定な気もしますが、逆にこれがこの小説の醍醐味なのかもしません。「世間知らず」な二人が繰り広げる会話はどこか焦点がずれていて見ていて楽しいものがあります。そこにまた違った雰囲気を与えてくれるのが麗子の執事兼運転手の影山。雇い主である麗子を「アホ」呼ばわりしたり、「お嬢様の目は節穴でございますか」と平然と言い放ったりする影山の存在がこの小説にアクセントを加えてくれます。毎回彼からどのような暴言(彼からしたらそうではないらしい)が飛び出すのかというのもこの作品の楽しみの一つですね。
肝心のミステリー部分ですが、意表を突く話が多いなと思いました。本格的…とは言い難いですが、「えっ、そこなの?」と毎回思わせてくれます。それに謎解きをする影山の安楽椅子探偵っぷりには脱帽です。

この作品は現在三巻まで発行されていますが、どの作品も軸がぶれずに書かれており、安定して楽しむことができます。最近はミステリー小説が多いですが、その中でもこの作品は一風変わったミステリーを提供してくれると私は思います。ちなみに私のおすすめは一巻「綺麗な薔薇には殺意がございます」です。ぜひ皆さん一度読んでみてください。

拙い文章で申し訳ありません…。
ここまで読んでくださってありがとうござました!