『ホーンテッド・キャンパス』櫛木理宇@香嵐

あらすじ
八神森司は、幽霊なんて見たくもないのに、「視えてしまう」体質の大学生。片思いの美少女こよみのために、いやいやながらオカルト研究会に入ることに。ある日、オカ研に悩める男が現れた。その悩みとは、「部屋の壁に浮き出た女の顔の染みが、引っ越しても追ってくる」というもので……。次々もたらされる怪奇現象のお悩みに、個性的なオカ研メンバーが大活躍。第19回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞の青春オカルトミステリ!(本書裏表紙より)

感想
青春オカルトミステリ、ということで読んでみたのですが予想していたよりミステリ要素は少ないと感じました。どちらかというと恋愛の方がメインです。しかしホラー、オカルトとしては充分楽しめる作品だと思います。本編は短編でサクサクと読める仕様となっています。
本作の主人公八神森司は幽霊が視えるが、対処はできない、むしろ苦手というオカルト研究会にあるまじき人間。しかも片思い中の後輩こよみには自分の思いも伝えられない超草食系男子。主人公なのにあんまり活躍しない……という残念な感じ。それと対比するように個性を発揮するオカ研メンバー、オカルト知識豊富な黒沼部長、その部長を支える体力派黒沼泉水、姉御肌で森司の恋の相談役三田村藍。そして霊に好かれるヒロイン灘こよみ。この五人が楽しい(?)キャンパスライフと共に怪奇現象に挑む姿はなかなか見物です。
本作に登場する怪奇現象は想像すると本当に怖いです。白い壁に一面の顔は本当に嫌だ……。他に豊富なオカルト知識が登場するのでその手のものに興味がある方は是非読んで欲しい作品です。苦手な人はやめておきましょう。

この作品は続編があるそうです。森司とこよみの関係がどうなっているのか楽しみですね。もう少し森司には男前になって帰ってきてほしいところですね。

PS:出てくる女性陣はとてもかわいいです。森司にはもったいない。