久住四季 「鷲見ヶ原うぐいすの論証」 電撃文庫@小野

あらすじ

 とあるクローズドサークルの洋館でおこった事件を、語り手である麻生丹譲と鷲見ヶ原うぐいすが論証することによって事件を解決へと導く物語である。

感想

 この作品で出てくるのは、いわゆる特別な才能をもった人物や、一般人とは違う世界に住んでいる人物など、一般人とはかけはなれた人物ばかりである。そしてこの物語は発生した事件を「論証」していくことで解決に導いていくのだが、その論証の内容は、とても哲学的である。「悪魔の証明」や「不完全性定理」、「首切りの論理」、「閉じた輪の論理」など、その手の話が好きな人には垂涎ものの内容である。
 
 事件の内容や、その結果などはどこかで読んだことのあるような内容ではあるが、その間間の「論証」はなかなか読んでいて面白い。話の流れ、その使い方などは、参考になるところが多いと思われる。しかし、ところどころに矛盾も見られるので、そのあたりは雰囲気で読む必要もあるかもしれない。