庵田定夏『ココロコネクト ヒトランダム』@師父

【内容】文研部に所属する五人、八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文は、奇妙な現象に直面していた。前触れなく起こった青木と唯の“人格入れ替わり”。それは次々と部員全員に襲いかかり、彼らを異常な日常に放り込む。戸惑いつつもどこかその状況を楽しむ太一たちだったが、心の連鎖は彼らの秘めた心の傷をも浮かび上がらせ…。平穏が崩れたその時、五人の関係は形を変える!第11回えんため大賞特別賞受賞作品、愛と青春の五角形コメディ。 (「BOOK」データベースより)

【書評】私は普段ライトノベルの類は余り読まないのですが、ちょっとした縁で読ませて頂きました。
 情景描写や舞台背景等の書き込みが少ないな、というのが第一印象で、そう言った「めんどくさい」説明は可能な限り省略し、キャラクターの表現を重視しようとしているように思われました。そういう意味では、キャラクターが大事で、人物関係が分かってくるまでは読んでもつまらなかったものの、やりとりを楽しめる頃になると印象は一転しておりました。特に物語中盤から後半、一つ一つの出来事は其処まで斬新という訳ではないのですが、次々と展開していく物語には中々惹き付けられました。
 ただ、技巧的な面や情景描写、伏線等は優れているとは言い難く、読み込む作品では無いように思われます。ただ、まとまった時間に、あまり頭を使わずに読みたい、というのであれば非常にいい作品では無いでしょうか?