トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』@霧道ゆま

内容

憂鬱に物事を捉える一面と、美を表現することに長けている一面とを併せ持つトニオは、幼少期からどこか浮いていた。そんな彼の孤立しているゆえの苦悩を描いている。

感想

この本に出会ったきっかけは、大学の講義だった。
始めは題材がとっつきにくく感じたが、いざ読み始めると、表現の多彩さについつい熱中して一気に読みきってしまった。

情景描写や人物描写が、主人公の表現力の高さを示すように、具象的に描かれており、それぞれの場面のイメージはつくりやすい。
しかし、全体的に重苦しい雰囲気がまとわりついていて、明るいハッピーな話を好む人には向いていないと思われる。