2009-01-01から1年間の記事一覧

谷川史子『くらしのいずみ』@たゆな

新年度が始まりました。 今年も文芸部ことのはをよろしくお願いします。 作品: くらしのいずみ 著者: 谷川史子 【概要】 6組の夫婦を描いた恋愛オムニバス。作者初めての青年誌掲載作品。 死んでも愛してるよとか、お姉ちゃんを守るんだとか、本当に俺のこ…

伊坂幸太郎『グラスホッパー』@黎明

「押し屋」と呼ばれる職業がある。殺し屋だ。車通りの多い交差点や、列車が入ってきたホームでそっとターゲットを押し、事故に見せかけて殺す。そして、本作はその「押し屋」によって結びつけられた「鈴木」、「鯨」、「蝉」の三人の視点で語られる。「鈴木…

久坂部羊『無痛』@志庵

【あらすじ】 神戸で一家四人の殺人事件が起こった。警察が犯人を絞れないまま八か月が経ち、精神障害児童施設の十四歳の少女が自分が犯人だと告白した。その事件に人を見ただけで症状がわかる医師が立ち向かう。 【感想】 刑法三十九条、心神喪失者の行為は…

奈須きのこ『DDD』@小野

それは骨の軋む幽(しず)かな夜。花開くような、美しい命の音。 ――Decoration Disorder Disconnectionというキャッチフレーズで描かれているこの作品。 人間の精神だけでなく肉体までもを変貌させる病気、A(アゴニスト)異常症という病が存在する世界で、…

瀬尾まいこ『天国はまだ遠く』@深舟

あらすじ仕事も人間関係もうまくいかず、息が詰まりそうな辛い毎日に疲れた千鶴は、会社を辞めて死ぬことを決意し、北へ向かう特急電車に乗った。そして辿り着いた山奥の民宿たむらで、大量の睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民…

島田荘司『占星術殺人事件』@霧夢

―あらすじ― 1936年2月26日。二・二六事件が発生したその日、猟奇的で難解を極める事件が起きた。画家の梅沢平吉が自宅の密室状態のアトリエで殺された。そして現場に残された遺書には怪奇な内容が記されていた。それは若い6人の処女からそれぞれの星座に合わ…

石持浅海『月の扉』@草一郎

石持浅海(著) 文庫: 350ページ 出版社: 光文社 発売日:2006/4/12 ハードボイルドと本格ミステリーの融合 最後まで適度な緊張感を保ちながら読み進められた。〈ハイジャック〉〈密室殺人〉というふたつの独立した要素を無理なく同時進行させ、終盤までうま…

よしながふみ『フラワー・オブ・ライフ』@たゆな

【あらすじ】 「不健全さ」を持った登場人物達がそれに負けずに、青春をエンジョイするお話。 ちなみに作者は好物は男性同性愛とメガネである。【感想】 登場人物は世間では不健全だといわれるような性質を持っている。 主人公の花園春太郎は白血病を患い、1…

今野敏『果断−隠蔽捜査2』@黎明

【あらすじ】 混乱する現場で対立する捜査一課特殊班とSAT。現場で指揮する竜崎の決断は。警察庁から大森警察署署長に左遷されたキャリアの竜崎伸也。襲いくる様々な圧力に竜崎は打ち勝つことができるのか。 隠蔽捜査シリーズ第2弾。(amazonより)【感想】…

コナン・ドイル『名探偵ホームズ「青いガーネット」』@志庵

【あらすじ】 クリスマスの朝、ホームズのもとに帽子とガチョウが落とし物として届けられたガチョウは拾った人が持ち帰り、ホームズは帽子の落とし主を推理し始めた。すると、さっきガチョウを持ち帰った男が戻ってきた。その手の中にあったものは・・・ 【…

野村美月「文学少女と死にたがりの道化」@小野 

物語を文字通り食べちゃうくらい愛している”文学少女”の天野遠子と元・天才の男子高校生、井上心葉の二人の文芸部が依頼されたのは、恋文の代筆。だけど、その前に現れたのは孤独な”お化け”だった。そのお化けの嘆きと絶望の物語を果たして二人はどのように…

殊能将之『ハサミ男』@深舟

【あらすじ】美少女を殺害し、研ぎあげたハサミをその首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。 三番目の犠牲者を決め、綿密な調査を行なっていたのだが・・・・・・その彼女の死体を発見してしまうことになる。しかも、その死体は「ハサミ男」の手口を真似たものだ…