2010-01-01から1年間の記事一覧

梓崎優『叫びと祈り』@黎明

【あらすじ】 砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂…

山名沢湖『白のふわふわ』@たゆな

白のふわふわ―9 clouds of Yamana world (Beam commix) 山名 沢湖 (著)【あらすじ】 「いくらしまってもいっぱいにならないフシギなカバン」を持ったわたしは、彼が女の子と楽しそうに歩いている所を目撃してしまう。 Hummingより【感想】 この本は短編集で…

「そりゃ昔の小説の名探偵ならね、犯人が好きなだけ殺人をしてしまってから、やおら神のごとき名推理を働かすのが常道でしょうけれど、それはもう二十年も前のモードよ。あたしぐらいに良心的な探偵は、とても殺人まで待ってられないの。事件の起こる前に関…

山田詠美『放課後の音符』@Anri

あらすじ 大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終わってしまった憧れ。好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終わった放課後、17…

村上春樹『羊をめぐる冒険』@たこのには

題名に惹かれたので読んだ本。「羊」と「冒険」の2つの単語が並ぶことはあまりないと思う。 本作は『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』とともに「初期三部作」といわれる小説の第三作にあたる。三部作には一連の流れがあるが、本作だけでは〈ジェイ〉と〈…

池田清彦『人はダマシ・ダマサレで生きる』@おさひさし

・あらすじ エコ商品、地球温暖化、食品偽装、市場原理主義、天気予報、健康診断……世間はほどよい“ダマシ”で回っている。 本物とかニセ物とか、騙したの騙されたのと騒ぐのは人間だけ。でも、だからこそ人生は愉しい。なぜか? 人間は自らをダマシて進化する…

【あらすじ】 毎年、九月末になると「白河庭園」で行われる、虫聞きの会。もう二十年近くも続いているという、そんな風流な催しに、僕が行く気になったのは、一にも二にもクドウさんのためだった。毎年家族で訪れているというクドウさんと偶然を装って会うは…

週刊書評 ツルゲーネフ「はつ恋」@小野 茸

・あらすじ 16歳の青年ウラジミールは、別荘の隣に引っ越してきた零落した公爵家の令嬢ジナイーダに一目ぼれをする。初めての恋にウラジミールは悶々とした日々をすごすが、ある日、ウラジミールはジイナーダが自分ではない他人に恋をしていることに気づく。…

森博嗣『探偵伯爵と僕』@草一郎

森博嗣(著) 文庫: 288ページ 出版社: 講談社 (2008/11/14) どうか、大人になっても、今の純粋な目を失わずにいて下さい。 本作は「講談社ミステリーランド」というレーベルから出された、いわゆるジュブナイル(子供向け小説)です。けれど、僕ら大人が読…

道尾秀介「龍神の雨」@黎明

【あらすじ】 人は、やむにやまれぬ犯罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。 そして今、未曾有の台風が二組の家族を襲う。最注目の新鋭が描く、慟哭と贖罪の最新長編。(「BOOK」データベースより)【感想】 大藪春彦賞受賞作。 長雨が続く梅…

【あらすじ】 無実の死刑因を救い出せ。期限は3ヵ月、報酬は1000万円。喧嘩で人を殺し仮釈放中の青年と、犯罪者の矯正に絶望した刑務官。彼らに持ちかけられた仕事は、記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすことだった。最大級の衝撃を放つデッド・リミット型サ…

星新一「未来いそっぷ」@Anri

あらすじなど、誰でもごぞんじ寓話の世界。語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。時代が変われば話も変わるとはいえ、古典的な物語をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気になりますが―――。 表題作な…

東野圭吾「殺人の門」@たこのには

あらすじ 「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために…

矢口敦子『償い』@おさひさし

≪あらすじ≫ 「あの人は死んでよかったんだと思うよ」 私が救った子供は、15歳の殺人鬼に成長していた? 36歳の日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、エリート医師からホームレスになった。流れ着いた東京のベッド・タウン光市で、高齢者、障害者など社会的弱…